Photo:丸尾隆一 / Maruo Ryuichi(YCAM)

アーティスト:大友良英青山泰知伊藤隆之 会場:ホワイエ、2階ギャラリー

「即興」と「協働」という大友の展示作品の原点を形にした《without records》は、2005年より各地で発表し、更新を重ねてきました。本作の主役は、役目を終えたレコードプレイヤーたち。市民の手で改造された一台一台が、独自システムを介して、二度と同じ瞬間のない即興演奏を繰り広げます。

Photo:板倉勇人 / Itakura Hayato(YCAM)

アーティスト:大友良英坂本龍一(YCAMとのコラボレーション) 会場:スタジオB

中庭越しに外光が差し込む開放的なスタジオBは、YCAM内の他スペースへも視線が抜ける、外部環境と緩やかにつながった空間です。この場所に、自動演奏によって即興デュオを紡ぐピアノとギターを設置します。2010年代に坂本と共に即興演奏をおこなった際の大友の記憶と、坂本の残したピアノの打鍵データ(MIDI)から再現されるピアノの音。そして、本作品のためにYCAM InterLabが、大友によるギターの即興演奏の特徴を抽出し、自動演奏する装置を開発。自動演奏でありながらどこまでも「即興的」であり得る音の形を探しながら、本人たち不在のもとで、永遠に演奏を生成し続ける作品を作り上げます。

Photo:青山真也 / Aoyama Shinya

アーティスト:Filament(Sachiko M & 大友良英) + YCAM 会場:山口市中央公園、中庭

2008年の「大友良英/ENSEMBLES」展で発表された《filaments》では、閉館後の図書館を舞台に、吹き抜けを見下ろす渡り廊下から音に耳を傾ける音響体験を生み出しました。今回は、YCAMに併設された芝生広場(山口市中央公園)と、館内を緩やかにつなぐ中庭へと舞台を移します。生活音や環境音に開かれたこの場所に配置されるのは、サイン波の電子音と、物理的な仕掛けが奏でる金属の音などです。風に煽られる木々のざわめき、公園に集う人の声、遠くの車の喧騒——その場で聞こえてくるさまざまな音は作品の音と響き合い、その音に呼応する光とともに、来場者一人ひとりに固有の体験を織りなし、その瞬間にしか立ち現れない音像を生み出していきます。

Photo:板倉勇人 / Itakura Hayato(YCAM)

アーティスト:大友良英持田敦子伊藤隆之YCAM 会場:スタジオA

YCAMの劇場スペースとして設計されたスタジオAの空間に、木造住宅の解体現場から引き取られた柱や梁を組み上げた巨大な動く構造体が出現します。空き家を創造的に解体することで、家と人間の関係をダイナミックに変容させてきた持田による構造体が生み出す複雑な動きと生々しい音に、大友が構成した多数のスピーカーや無数の家電から放たれるノイズが混じり合い、変化し続ける空間と音響が一体となって押し寄せます。その迫力ある生成には、一般の市民の力も加わる予定です。世代もジャンルもキャリアも異なる大友と持田は、今回1年以上対話と試行錯誤を繰り返してきました。予測不能な他者と創造するプロセスを経て立ち上がる作品は、かつてない驚きとユーモアに溢れ、即興のポジティブなメッセージへ変換されます。